内容紹介
この作品集は、現実と幻想の境界線を自在に行き来する山田正紀の卓越した創作力を存分に味わうことができる一冊といえるでしょう。短編小説の魅力を存分に引き出し、読者を12の異なる世界へと誘う本書は、日本の現代文学における重要な作品として高く評価されるべきものです。
収録作品
- 友達はどこにいる
- 回転扉
- ネコのいる風景
- 撃たれる男
- ねじおじ
- 少女と武者人形
- カトマンズ・ラプソディ
- 遭難
- 泣かない子供は
- 壁の目
- ホテルでシャワーを
- ラスト・オーダー
この作品集は、現実と幻想の境界線を自在に行き来する山田正紀の卓越した創作力を存分に味わうことができる一冊といえるでしょう。短編小説の魅力を存分に引き出し、読者を12の異なる世界へと誘う本書は、日本の現代文学における重要な作品として高く評価されるべきものです。
『恋のメッセンジャー』は、SFを基盤としながらも人間の感情、特に「愛」と「戦い」のテーマに焦点を当てた短編集です。SFというジャンルの枠にとどまらず、時に哲学的であり、時に純粋なロマンスであり、そして時に歴史を再解釈するようなストーリー展開が特徴です。この作品は、戦場や宇宙の広がりを舞台にしながらも、人間の内面的な葛藤や成長が深く描かれています。
山田正紀の「ふしぎの国の犯罪者たち」は、セバスチャン・ジャプリゾの影響を受けつつも、独自の世界観を持つ傑作として日本文学史に名を残しています。フランス映画「狼は天使の匂い」からインスピレーションを得たというエピソードは、本作の持つ国際的な香りと、詩的な犯罪描写の源泉を示唆しています。
山田正紀の「超・博物誌」は、未知なる生命体の不思議な生態を描いたSF連作短編集です。奇想天外な設定の生き物たちが登場する一方で、博物誌の記述者である”わたし”の人生や、物語の背景となる世界の姿も浮き彫りになっていきます。SF作品としての想像力とスケールの大きさを兼ね備えた、山田正紀の代表作のひとつと言えるでしょう。ぜひ、この「超・博物誌」の世界に浸ってみてください。きっと、あなたの想像力を刺激する、すばらしい読書体験になるはずです。
山田正紀の創作活動の多様性を見よ。SFから犯罪小説、”奇妙な味”の日常小説まで、ジャンルを超えて自在に筆を走らせる。
本作は、見事な緻密さと行動力で、不可能とされる事件に挑む男たちの姿を描いた傑作短編集です。各作品のプロットは緊張感に満ちており、読者を最後までハラハラドキドキさせてくれます。
この短編集には、題名作「剥製の島」のほか、7編の作品が収録されています。いずれも斬新な設定と緻密な筆致が光る、見事な作品ばかりです。
「地球・精神分析記録」は、人間の心理と神話が交錯する独特の世界を描いた作品です。この物語は、人類が感情を失い、生ける屍と化してしまった未来を舞台に展開します。そんな中、人間の失われた感情を象徴する四体の神話ロボット―悲哀(ルゲンシウス)、憎悪(オディウス)、愛(アモール)、狂気(インサヌス)―が登場します。彼らは、人間が忘れ去った神話と感情を受け継ぎ、新たな物語を紡ぎ出します。
山田正紀による短編集『終末曲面』は、この時期特有の暴力的な描写もあり、読者に深い印象を残す作品群です。
巨大コンピュータが全てを支配する未来。山田正紀は1970年代にこのような世界を想像し、「襲撃のメロディ」という作品を通じて、私たちに警鐘を鳴らします。この連作集は、ただのディストピア小説ではありません。それは、テクノロジーが進化する中で失われつつある人間性を、鮮やかに描き出す物語集です。