
血と夜の饗宴(サバト)
投稿者 jinn
叢書 | KOSAIDO BLUE BOOKS |
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出版社 | 廣済堂 |
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発行日 | 1990/04/10 |
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装幀 | 村山潤一 |
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収録作品
- 血のモータープール
- 血のプロムナード
- 血のカフェテリア
- 血のスカイラウンジ
- 血のペントハウス
内容紹介
作品解説
「血と夜の饗宴」は、都市空間における技術と人間性の複雑な相互作用を鋭く描き出した山田正紀の代表的連作集である。〈青山ハイタワー〉という巨大知的建造物を舞台に、テクノロジーの冷徹な論理と人間の感情が激しくぶつかり合う世界を展開する。 作品の特徴
本連作集の最大の特徴は、建築空間そのものをほぼ主人公として描き出している点にある。〈青山ハイタワー〉は単なる建物ではなく、独自の意志と欲望を持つ巨大な有機体として描写されている。相次ぐ怪死事件は、この建築システムの冷酷な論理を象徴的に表現しており、テクノロジーの持つ非人間性を鋭く照射している。 技術と人間性の葛藤
山田正紀は得意とするサイバーパンク的手法を駆使しながら、テクノロジーと人間存在の境界線を繊細に描き出している。インテリジェント・カードによる完璧な管理システム、コンピュータネットワークへの潜入を試みる人間たち、そして建物自体が紡ぐ謎の物語は、現代社会における監視と自由の問題を深く掘り下げている。 物語構造と技法
連作集の前半で執拗に描かれる怪死事件は、単なる事件の羅列ではなく、〈青山ハイタワー〉という巨大システムの本質を徐々に明らかにしていく緻密な物語装置として機能している。各章で少しずつ明らかになる建物の謎は、読者の好奇心を絶妙に刺激する構成となっている。 テーマと物語のキーポイント
前作『魔空の迷宮』との類似性は否めないものの、「血と夜の饗宴」は都市空間におけるテクノロジーの暴力性をより直截的に描き出している。青山の高層ビルという近代的な舞台が織りなす異様な事件、テクノロジーと怪奇現象の融合、そしてホラーとSFのあわいを漂う物語構造――これらが複雑に絡み合い、作品世界の奥深さを示しています。 結論
「血と夜の饗宴」は、テクノロジーと人間性の境界を探求する山田正紀の代表的作品の一つである。都市空間における監視と支配のメカニズムを、鋭い洞察力と緻密な想像力で描き出した連作集として高く評価できる。同時に、テーマの深化という点では、なお発展の余地を残した作品でもある。