
叢書 | C☆NOVELS |
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出版社 | 中央公論社 |
発行日 | 1994/03/25 |
装幀 | ひろき真冬 |
内容紹介
時間が乱れる莫高窟、宇宙の謎が人類を試す
山田正紀のSF戦記シリーズ『機神兵団』もいよいよ第九弾。敦煌の莫高窟という歴史的な舞台に、時間SFの要素を大胆に組み込み、シリーズの中でも異色の一冊となっています。榊大作、白蘭花、真澄公彦らの運命はどうなるのか? そして、ついに姿を現すエイリアンの正体とは?
本記事では『機神兵団9』の魅力を徹底解説し、シリーズ全体における役割や、最終巻への伏線を考察していきます。
1. あらすじ
白蘭花と榊大作は、アメリカ電撃軍団の追跡を受けながらも、敦煌の莫高窟へと逃げ込む。しかし、そこでは異常な現象が次々と発生していた。時間と空間の感覚が狂い、銃弾すら直進しない奇妙な空間。そして、白蘭花は突如、2年前のルッチェランドへと飛ばされてしまう。
一方、ゴビ砂漠では真澄公彦らが墜落した円盤の調査を進める中、ついにエイリアンの姿を目にすることとなる。機神3体、そして人類を超えた存在の謎が絡み合い、物語は最終巻へ向けて加速する。
2. 見どころ
① 時間SFとしての深化
本作の最大の特徴は「時間の歪み」。莫高窟内部では、過去と現在が交錯し、白蘭花は別の時代へ飛ばされる。この時空間の乱れが、後の展開にどのような影響を与えるのか? まさに本格SFらしい仕掛けが施されています。
② 進化論SFとしての要素
機神兵団シリーズでは、「機神」と人類の関係性が一貫したテーマになっています。本作ではさらに、エイリアンの存在が加わり、「進化」というテーマがより色濃くなってきます。果たして、人類はどこから来て、どこへ向かうのか? SFファンにとってはたまらない問いかけが散りばめられています。
③ 機神 vs アメリカ製巨大ロボット
ロボットSFとしての魅力も健在。シリーズおなじみの機神たちが登場し、アメリカ製の巨大ロボットとの戦闘が描かれます。戦闘シーン自体は短めですが、最終巻に向けた大きな伏線が含まれている点にも注目です。
④ 宇宙的スケールへの拡張
これまで「人間 vs 機神」という対立構造がメインだったシリーズが、本作では「宇宙的な存在」へと視点を広げています。エイリアンの登場は、単なる異星人の描写にとどまらず、「人類の未来」としての示唆を含んでおり、深い考察の余地があります。
3. 物語の核心に迫る
① 時間の乱れとルッチェランドの関係
白蘭花が飛ばされた2年前のルッチェランド。この時点では謎が多いものの、最終巻に向けて重要なピースとなることは間違いありません。なぜ莫高窟だけが時間の影響を受けるのか? この時間SF的な設定が、最終巻でどう回収されるのかに注目です。
② エイリアンは何者か?
ゴビ砂漠で真澄公彦たちが目にする「エイリアン」。彼らは単なる侵略者なのか、それとも機神兵団の成り立ちに関わる存在なのか? シリーズを通して積み重ねられた伏線が、一気に加速するポイントでもあります。
③ 機神たちの運命
本作では3体の機神が登場しますが、彼らの存在意義も問われる展開が続きます。単なる兵器としてではなく、より哲学的なテーマを背負う存在として描かれる機神たちが、最終巻でどのような役割を果たすのか、目が離せません。
4. 『機神兵団9』を読むべき理由
- 時間SF・進化論SF・宇宙論SFが見事に融合
- シリーズ屈指のミステリアスな展開
- 最終巻に向けた伏線が満載
- 壮大なスケールで語られる人類の運命
- 山田正紀ならではの詩的な表現が光る
5. まとめ
『機神兵団9』は、単なるロボットSFにとどまらず、時間SF・進化論SF・宇宙論SFとしての側面を強く打ち出した作品です。莫高窟という歴史的な舞台設定と、時間の歪みというSF的ギミックが絡み合い、シリーズの中でも異色の一冊となっています。
特に、最終巻への伏線が随所に散りばめられており、物語のクライマックスに向けた準備が整った印象です。シリーズファンはもちろん、本格SFを求める読者にもぜひおすすめしたい一冊です。
さて、最終巻『機神兵団10』ではどんな結末が待っているのか? 読者の期待を高める内容であることは間違いありません。
次巻へ続く――!
あなたも『機神兵団9』を読んで、この壮大な物語に浸ってみてはいかがでしょうか?
文庫・再刊情報

叢書 | ハルキ文庫 |
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出版社 | 角川春樹事務所 |
発行日 | 2000/10/18 |
装幀 | 三浦均、芦澤泰偉 |