
叢書 | C☆NOVELS |
---|---|
出版社 | 中央公論社 |
発行日 | 1994/08/25 |
装幀 | ひろき真冬 |
内容紹介
見どころ
山田正紀の「機神兵団10」は、1990年から1994年にかけて中央公論社C☆NOVELSから刊行されたSF冒険小説シリーズの最終巻です。初版は1994年8月25日に発行され、装幀はひろき真冬が担当。後に2000年11月18日には角川春樹事務所のハルキ文庫版として再刊され、こちらは三浦均と芦澤泰偉による新たな装幀で登場しました。全10巻にわたるこのシリーズは、第26回星雲賞(日本長編部門)を受賞するなど、日本SF史に残る名作として評価されています。
物語は1937年の上海を起点に、第二次世界大戦前後の時代を舞台とした架空戦記として始まりました。しかし、「機神兵団10」ではその枠を超え、時間と空間を操る壮大なSFへと発展します。最終巻のあらすじを紹介すると、二年間の眠りから目覚めた白蘭花と榊大作は、アメリカのロボット軍団「サンダーボルト」との戦いに直面します。白蘭花が操る雷神に異変が生じ、再び時間のループに囚われる一方、真澄公彦たちは円盤が変化した土偶を巡り柴火たちと対決。この土偶こそ、機神兵団が戦ってきたエイリアンの正体とされています。物語は「伝説の三機神が再び集う日は来るのか」という問いを投げかけ、四年に及ぶシリーズを締めくくります。
この巻の特徴は、単なる戦争やロボット戦闘の枠を超えたテーマの広がりにあります。読者を驚かせるのは、1992年のプロローグから始まる新展開です。当初は1941年の本編で機神兵団が最強の敵――陸戦最強の1号ロボ、水陸両用の2号ロボ、そして無人の3号ロボ――と戦う姿が描かれますが、結末は予想を裏切るもの。2号ロボは1号と相討ちになり地下洞窟へ落下、3号ロボは円盤と合体して宇宙へ飛び去り、機神兵団は歴史から消える。この展開は、10巻すべてが壮大な序章だったことを示唆し、宇宙スケールの視点で物語を閉じます。
「機神兵団10」のテーマは、時間と存在の意味です。白蘭花や榊大作が繰り返す時間のループは、運命に対する人間の無力さと抵抗を象徴しています。一方、エイリアンの正体が土偶に宿るという発想は、山田正紀ならではの奇抜な想像力の産物。読者からは驚きと納得が混じる声が聞かれます。実際、物語は第二次世界大戦という歴史的背景から、宇宙の起源にまで視野を広げ、機神兵団の誕生理由を**驚くべき真相**で締めくくります。
「最後の敵」 然り、山田正紀は、壮大な物語を実にロマンチックにまとめ上げます。
個人的な感想を加えるなら、この最終巻は山田正紀の作家としての力量が炸裂した一冊と言えます。確かに「肩透かしの感」を感じる読者もいるでしょう。戦争やメカバトルを期待していた層には、後半のSF度の急上昇が戸惑いを生んだかもしれません。しかし、「超力技な幕の閉じ方」こそが本作の魅力。極大と微小が交錯する結末は、単純な完結を超えて、読者に思索の余地を与えます。90年代のSFが持つ野心と実験精神を堪能できる作品です。
気になる方はぜひ全10巻を手に取ってください。長い旅路の果てに待つこの結末は、山田正紀でしか味わえない独特の読後感を約束します。「機神兵団発進せよ!」――その言葉が星の彼方へと響き渡る瞬間を、あなたも目撃してみませんか?
文庫・再刊情報

叢書 | ハルキ文庫 |
---|---|
出版社 | 角川春樹事務所 |
発行日 | 2000/11/18 |
装幀 | 三浦均、芦澤泰偉 |