火神を盗め

叢書NON NOVEL
出版社祥伝社
発行日1977/09/05
装幀坂野豊+小松原京子、山下一徳

内容紹介

ストーリー

山田正紀の代表作『火神(アグニ)を盗め』は、心踊る痛快な冒険小説です。この作品は、インドの奥地に建設された最新鋭の原子力発電所「火神(アグニ)」を舞台に、一見普通のサラリーマンが国際的なスパイ戦に巻き込まれるというストーリーを描いています。日本の商社からセールス・エンジニアとして派遣された主人公・工藤篤は、偶然にも「アグニ」の秘密を知ってしまい、CIAや中国情報局などの国際スパイ戦の渦中に引き込まれます。

スリリングな展開

この物語の魅力は、序盤から終盤にかけての息をもつかせぬスリリングな展開にあります。工藤篤と彼の仲間たちは、国際スパイ戦という過酷な状況下で、自身の命を狙われながらも、鉄壁の要塞である「アグニ」に潜入しようとします。この過程で展開される頭脳戦と肉体戦は、読者を物語の世界に深く引き込みます。

痛快な物語とキャラクターの成長

山田正紀は、「火神(アグニ)を盗め」を通じて、普通のサラリーマンがいかにして困難を乗り越え、成長していくのかを描いています。元々は無能とされていたダメサラリーマンだったメンバーたちが、チームとして結束を高め、難題を解決していく様は、まさに痛快そのものです。国際スパイ戦という巨大すぎるターゲットに立ち向かう彼らの姿は、読者に大きな感動を与えます。

 山田正紀流の“ミッション・インポッシブル”

本作は、山田正紀流の“ミッション・インポッシブル”とも評されます。困難な目標に挑む男たちの物語は、この後の作品でも何度も描かれていますが、「火神(アグニ)を盗め」は、その白眉と言えるでしょう。技術的な詳細やスパイ活動のリアリティも評価され、山田正紀の代表作として多くの読者に愛されています。

 結論

『火神(アグニ)を盗め』は、スパイ戦をテーマにしながらも、人間の成長と結束、勇気を描いた物語です。技術的な描写の正確さ、キャラクターの深い心理描写、そして緊張感溢れるストーリーラインは、山田正紀の筆力の高さを改めて証明しています。この作品は、冒険小説のファンはもちろん、スリリングな物語を求めるすべての読者にとって、絶対に読むべき大傑作です。

文庫・再刊情報

叢書文春文庫
出版社文藝春秋社
発行日1983/06/25
装幀 東谷武美
叢書ホームミステリーコミックス2
出版社集英社
発行日1993/02/24
装幀 本編:左京景
叢書ハルキ文庫
出版社角川春樹事務所
発行日1999/06/18
装幀 三浦均、芦澤泰偉