内容紹介
山田正紀の短編集『フェイス・ゼロ』(竹書房、2021年、日下三蔵編)は、単行本未収録の13の短編を収録したアンソロジーだ。SIDE A「恐怖と幻想」とSIDE B「科学と冒険」に分けられ、SF、ホラー、ミステリ、哲学を融合した山田の多面性が光る作品集である。
収録作品
- 開城賭博
- ミコライ事件
- 防諜専門家
- 恋と、うどんの、本能寺
- 独立馬喰隊、西へ
- 咸臨丸ベッド・ディテクティブS
山田正紀の短編集『フェイス・ゼロ』(竹書房、2021年、日下三蔵編)は、単行本未収録の13の短編を収録したアンソロジーだ。SIDE A「恐怖と幻想」とSIDE B「科学と冒険」に分けられ、SF、ホラー、ミステリ、哲学を融合した山田の多面性が光る作品集である。
山田正紀の「桜花忍法帖 バジリスク新章」は、山田風太郎の名作「甲賀忍法帖」とその漫画化作品「バジリスク 〜甲賀忍法帖〜」を原案とした続編小説だ。舞台は「甲賀忍法帖」の忍法合戦から12年後の寛永3年(1626年)。甲賀と伊賀の精鋭が全滅した壮絶な戦いの後、新世代の忍たちが新たな脅威に立ち向かう物語が上下巻にわたり展開される。この作品は、原案の持つ過酷な運命と人間ドラマを継承しつつ、山田正紀独自のSF的感性とテーマ性を注入した意欲作である。
真田信繁、通称「幸村」。その名は戦国武将の中でも屈指の人気を誇りますが、実は「幸村」という名乗りが確かな史料で確認されるのは江戸時代以降であり、生前の信繁がそう名乗った記録は乏しい、という事実は歴史ファンの間ではよく知られています。本書「ふたり、幸村」は、この歴史のミステリーに対し、「信繁とは別に、もう一人“幸村”が存在した」という大胆な仮説を提示し、物語を紡ぎ出します。
物語は船宿「かわうそ」を営む父親と反りが合わず、十八歳で家を飛び出し、賭博に明け暮れていた伊佐次が、五年ぶりに深川へ帰るところから始まる。久々の故郷で目にしたのは、急死した父親の葬儀に、明らかに怪しい人物たちが顔を見せる異様な光景だった。父親の死に不審を抱いた伊佐次は、やがて深川で暗躍するさまざまな勢力の思惑に巻き込まれていく――。
時代の波が、無垢な少年たちを呑み込んでいく――。
山田正紀の『早春賦』は、そんな切なくも鮮烈な瞬間を描き切った、珠玉の時代小説です。
ただの歴史小説ではなく、ただの成長物語でもない。
友情と別離、忠義と裏切り、そして静かな闘志と成長を描いたこの作品は、読む者の心に深く静かに沁み渡ります。
時代の波が、無垢な少年たちを呑み込んでいく――。
山田正紀の『早春賦』は、そんな切なくも鮮烈な瞬間を描き切った、珠玉の時代小説です。
ただの歴史小説ではなく、ただの成長物語でもない。
友情と別離、忠義と裏切り、そして静かな闘志と成長を描いたこの作品は、読む者の心に深く静かに沁み渡ります。
『天保からくり船』は、江戸の町を舞台に、伝奇とサスペンスが絡み合う作品です。山田正紀らしい大胆な仕掛けと、緻密な時代描写が融合し、読後に強烈な印象を残します。特に終盤の展開は、好みが分かれるかもしれませんが、間違いなく「一読の価値あり」の作品です。
シリーズ第3巻は、戦国時代を舞台にしながら、独特のファンタジー要素を織り交ぜた異色の歴史小説として注目を集めている作品である。本作では、豊臣秀吉率いる軍団、神秘的な力を操る魔道士軍団、幻術を操る軍団、そして主人公率いる泥棒軍団という四つの勢力が激突する。
本作は、戦国時代を舞台に展開される仮面武者たちの壮大な活劇である。主人公・重荷丸を中心に、三つの虚空面を巡る争いが描かれる。豊臣秀吉の鳥取城攻略という史実を背景に、幻風道人、閣軍団、闇軍団といった超人的な勢力が蠢く、独特の世界観が展開される。
短編集『1ダースまであとひとつ』は、そのタイトルが示す通り、完全なダース(12)のうち、あとひとつ欠けた11篇の物語から構成されています。SF、ミステリ、時代小説、ホラーなど、多彩なジャンルが融合したこの作品集は、読者に幻想的でありながらも現実味を帯びた物語世界を提供しています。本記事では、各短編の魅力やテーマ、そして山田正紀独自の文学的表現について詳細に解説し、現代文学における本作の意義を考察します。