その女シャーニ・ヴィンソン

リプリーを継ぐ女たち

「サプライズ」という映画がありまして、これが思わぬ拾いものでした。所謂ホラー映画ですが、映画ってやっぱ、監督・脚本・役者が良いと面白いよね。映像と音楽が良ければもっと良し。なんてことを改めて感じさせてくれる好ましい作品でした。

内容は、

両親の結婚35周年を祝うため、郊外の静かな別荘に集まった裕福な一家とそのパートナーたち。久しぶりの再会を喜ぶ家族だったが、常々なにかと反目し合う長男ドレイクと次男クリスピアンが早速口論を始めてしまう。団らんの席が険悪な雰囲気に陥った矢先、外からボウガンの矢が放たれ、長女エイミーの恋人が殺されてしまう。やがて邸内に動物マスクをかぶった不審者たちが侵入し、家族はなすすべもなく殺されていくのだが……。

ＷＯＷＯＷの解説文より

なもので、これだけだとわざわざ記事にすることはなかったかもしれない。この記事を書く動機になったのは、主演の女優さんが魅力的だったからです。

その名は、シャーニ・ヴィンソン。

監督のインタビューにあるように、最初は主人公だとは思いもしなかった。ただ、かわいい女優さんだなあ。どっかで観たなあ。何だっけ？なんてことが気になっていました。

でまあ、「ああ、面白かった」で数ヶ月が過ぎたところで、ハリウッド版リメーク「デスノート」の監督をこのアダム・ウィンガードが務めるという記事をたまたま見つけたもので、「じゃあ、あの女優さんを探してみよう」となったわけです。

上記CineMatchによれば、どうやら「ステップアップ3」らしい。日本未公開らしいけど、ＷＯＷＯＷで観たんだろうなあ。面白かったし、多分シャーニ・ヴィンソンも魅力的だったので覚えていたのでしょう。しかし、節操もなく色々観ているなあ…。

「ステップアップ3」はダンス映画だし、肉体美も堪能させてくれたはずなのに、この「サプライズ」ではお色気は一切なし。この点については、上記監督のインタビューでも触れています。

ーーシャーニ・ヴィンソン演じる主人公のエリンは美人なものの、セレブリティタイプの華やかな美女でもなければ、パッと見戦えそうなほど屈強にも見えない、いわゆる普通の女性として描かれています。彼女を本作の主人公に起用した理由はなんでしょうか？
アダム・ウィンガード：やはり前半ではやり返さない、まさかこの人が？と感じるような、『エイリアン』でいえばリプリー（シガーニー・ウィーバー）のようなキャラクターにしたかったからです。
エリンを演じてもらうにあたって、女優もいわゆるモデル風の見た目で選ぶのではなく、実際にこの人だったらやり返せる、キック・アスできる、ヤバくなれる子がふさわしいと思い、シャーニを選びました。彼女にはダンスと振付のバックグラウンドがあるので、元々肉体的表現に長けていて、この役にはぴったりだったわけです。

kotaku監督インタビューより

さらに、こうも言っています。ちょっと長いけど引用します。

本作を作るにあたって頭に浮かんでいたのは、『悪魔のいけにえ』のリメイク版『テキサス・チェーンソー』です。この作品では、ジェシカ・ビール演じる主人公が持っているスキルを駆使してやり返します。しかし、彼女は自分が生涯見た中で最も浅いローカットのジーンズを履いていたり、コスプレ的な要素があったりと、フェティッシュでセクシャルな描写にあまりにも時間をかけすぎていると感じました。そこがリアルじゃないと気になったんです。
シャーニはとてもセクシーな女性なので、『サプライズ』でも主人公をセクシャルに、フェティッシュに撮ろうと思えばできました。しかし、エリンのキャラクターには合っていないので、過剰ではない女性としてのリアルな部分を見せつつも、やり返すときには男性的とも感じられるフィジカルな部分を見せるように撮りました。

kotaku監督インタビューより

映画は監督のもの。意図通りに撮影されています。でもそれが成功しているかはなんとも言えません。いくらでもセクシャルに撮れたでしょう。それで作品が壊れるとは思わないし。でもまあ、十分作品に集中できるという点では成功しているのかな。でも、「エイリアン」のリプリーだって、薄シャツにパンティ姿から宇宙服に着替えるという素敵なシーンがあったじゃないですか。ねえ。